生活防衛のためのFX

山崎種二さんは、いろんな形で相場運用をやる方でした。サヤ取りは彼のお家芸とも言えるのですが、本でも書いている通り非常に幅広いやり方をしています。

そのやり方は、私達の生活を守ることにも使えます。

FXや株など相場運用は、資産を増やすためだけのものではありません。自分たちの金融資産や不動産を守るのにも有効です。実際、私はFXを使っていくつかの資産防衛をしています。

山崎種二さんが、「そろばん」の中で簡単に紹介しているものをちょっと書かせて頂きます。今後、皆さんにとってもこの考え方は有益なはずです。

例えばこんなことです。

「家を建てたら株を売る」

これ、理論的には間違っていないのです。すぐに「ああ、それもいいかもね」と思った方はかなり鋭い方です。

まずは、そのエピソードをご紹介しましょう。

「そろばん」の中には簡単にしか書いていませんので日本経済新聞「私の履歴書」の記述を抜粋しながらやらせていただきます。

家を建てる前は株を買う

山崎種二さんは、昭和6年に東京都千代田区麹町3番町に家を新築します。その豪華さから当時は「三番町御殿」とも呼ばれていました。同時に店も新築しています。5階建ての大理石作りで当時としては珍しかった自動エレベーターつきという豪華なものでした。

彼はこの家と店を買うときにこういう事をしました。

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家を建てる前に建築資材株を買った。

建築資材株が値上がりするときには、建築資材株も値上がりする公算が大きい。いざ建築というときに、その費用が高くなっても、株式の利益で埋め合わせができるからである。

現に買いは予想以上に成功した。

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住宅資材や人件費が値上がりするとこで住宅そのものの値段があがることは現在でもあります。もし、そうなっても建築価格の値上がり分は、株の利益で賄うという発想です。

逆に値下がりしたらどうなるんでしょうね?

でも、心配は要りません。建築資材が値下がりすれば家の建築費も下がります。株も下がるけど、山崎種二氏にすれば、予算の範囲内で家を建てられれば問題ないわけだからそれも予定通りということになります。

私達が買う通常の一軒家であれば、値段が大きく上下するということはあまりありません。

でも、山崎種二さんのはかなりの豪邸であったことと当時はインフレもかなり激しい時代だったのでこういうやり方も有効だったのだろうと推測されます。

更に新築してからがまた面白いのです。

家を建てたら株を売る

山崎種二氏は、家を建てた後には別の行動をします。

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新築してから、新東(東京株式取引所株)株を売りつないだ。つまり、信用取引を使って売りポジションを持ったような状況だ。

今後、かなり不景気になれば建築資材も値下がりする。早まって建築資材の高いときに家を建てたとすれば、損をしたことになる。

しかし、不景気になれば株も値下がりするので、その買戻しによる利益出、不動産の値下がり損の埋め合わせができるからだ。

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「家を買おうと思ったら株を買う」のはなんとなくわかる。
でも、「家を建てたら株を売る」ってのはどうなんだ?

こういう声も聞こえてきそうですね。

不景気にならないで株が上がるってこともああります。

勿論この策が裏目にでることもあります。でも、人間心理を考えるとこの部分はよくわかると思います。

家って「高値で買いやすい商品」なんです。

家の値段も上下するけど、高値圏で買う人がとても多いのです。ちょうど、株やFXで高値圏でポジションを作ってしまような感じです。

だから、「家を買ったら売りポジションを作る」というのは理にかなっているのです。

次回、「家を高値で買ってしまう理由」をもう少し掘り下げていきます。ちょっとFXからは外れますが意識しておくと案外得な話かもしれませんよ。

★ 本日のまとめ

 「家を建てたら株を売る」

 山崎種二さんは、生活の中にもサヤ取りの知恵を応用していました。