常勝将軍「山崎種二物語」

相場師山崎種二氏の物語から相場運用の極意を学んでいきましょう。

山崎種二さんは、通称「ヤマタネ」としてよく知られた相場師です。当時は「相場の神様」や「売りのタマタネ」とも呼ばれていて、数々の買収合戦にも顔を出し常勝将軍としても有名でした。

でも、実際の山崎種二さんの運用は堅実そのもので、「サヤ取り」を中心として「サヤすべり取り」にも似た運用も行いながら着々と資産を築きあげた方でもあります。

今でも昔でもそうなのですが、相場で一時的に大儲けをする方は結構います。

数億や数十億相当儲けたという話は100年以上前からよくある話の一つです。

でも、一時的な大儲けをしてもその後も成功し続けた方はほとんどいません。多くの相場師の伝記を読めばわかるのですが、「大成功⇒大失敗⇒破産して終了」というのがお決まりのコースです。

山崎種二さんは、終わりを全うできた数少ない相場師の一人です。

私がもっとも理想とする相場師でもあります。

この連載はその山崎種二氏の自伝「そろばん」に書かれている相場に関する部分や役に立つエピソードを紹介しながら、大先輩のやり方を少しでもお伝えできればと思います。

著書「そろばん」の後半部分「相場の秘訣」を中心にやってまいります。

今回は、出発点として山崎種二氏のお金についての考え方をご紹介します。

相場の神様のお金の考え方

「相場で儲けたお金には損がついてまわる。貯金には信用がつく」

山崎種二氏は、無一文いや父の借金を背負った状態からのし上がっていった人物です。最初は丁稚奉公からのスタートでした。

運用もうまいが貯金もうまかったのです。

貯金がうまいというよりは、人の数倍働き、工夫しながらお金を貯めていったというほうが正確かもしれません。最初は父の借金返済のためにとにかく必死に働いたようです。

無駄な出費を徹底して切り詰めて貯金するタイプで、周りからは「ケチ種」とも呼ばれていました。

山崎種二さんのそういう生き方はテレビドラマにもなっています。

1967年NHKで放映された「偉大なるけちんぼ」がそれです。主人公の山崎種二役は東京都知事にもなった青島幸男さんが演じています。

ただケチだったわけではありません。

「金は使い方が一番大事というケチ哲学」

彼は、貯めたお金を運用で増やしたのは勿論ですが、事業・美術館・学校と様々なものに使っていきました。

山崎種二氏に「金儲もうけの秘訣」を質問した方に彼はこう答えています。

「貴方の職業はなんですか。サラリーマンでしたらとにかく、使わないことですよ。」

相場師とは思えないアドバイスですよね。

でもきっちり貯金をしていく力というのは運用でも役立つんです。

貯金でつく信用と根気

貯金をしていくことで信用がつく・・と山崎種二氏は書いています。私は、もう一つ「利益を伸ばすための根気」もつくと感じています。

誰もが経験することですが、FXを始めたばかりのころは「小さな利益」でも決済しがちです。その利益が大きくなるまで我慢するというのはなかなかできるようにはなれません。

これは、運用技術を磨きながら訓練していく過程で出来るようになっていくものでもあります。

その基礎となるのが・・・根気・・・・です。

これは、貯金を続けることが根気をつける練習ともなります。

「毎月5万円を貯金し続ける」

こういうのに挑戦するとその難しさがよくわかります。

貯金した翌日通帳をみても・・・5万円・・・です。
その翌日通帳をみても・・・・・5万円・・・です。

これは当たり前といわれそうですが、貯金始めたばかりの頃はやっている本人はだんだん嫌になってきたりするものです。でも、それを根気強く毎月続けていくと状況が変わってきます。

1年すれば、60万円+利息に増えています。
3年すれば、180万円+利息に増えています。

FXで利益を伸ばすときの心境もこれに近いものが有ります。無論、FXの場合、スワップ放置投資でもない限り、これほど長くポジションを持つ必要はありません。

デイトレ系の運用なら1日くらい待てばいいだけです。

でも・・・・待てなかったりしますよね。1日待てば大きく利益が増えそうな気がしていても我慢できずに小さい利益で決済してしまった経験は誰でもあると思います。

その時の我慢する根気力のようなものを養う効果が貯金にはあると私は感じています。

私も相場運用も続けていますが、貯金も続けています。毎月それほど大きく貯金できるわけではなく、FXで運用したほうが良いと感じることも多いのですが、コツコツと貯金をしています。

相場は大きく儲けられるが・・・

「相場をはる人達は、大きく儲けるかわりに、大損もする」

これも、100年以上前からの投資家の現実の姿です。当時も相場で大儲けする方は多かったようなのですが、長続きはしません。

そしてなぜか・・・・・

「相場の儲けは相場で吐き出す」

・・・・ こういう傾向があります。

FX業者にお金を預けて売買していたらいつの間にか吸い取られたかのようにお金が減っていくような経験をした方もいるのではないでしょうか。昔の私もその一人です。

ちょっと儲けてもその後の損で消えていき、証券会社に預けたお金は引き出すこともなく減っていくのはとても辛く悲しい現実です。

相場の本場で米屋で働いていた山崎種二氏も相場師達の栄枯盛衰を何度も目にします。

相場で大儲けして昨日まで羽振りの良かった人が突然夜逃げして消えてしまうような事は現実によくある話だからです。
 
でも、その現実を知りながらお金が貯まった彼は相場運用の世界に入り込んでいくのです。

次回へ続く