確実性効果 両建と投資心理学

今回がスワップ金利サヤ取りの最終回となります。

この両建は、利益はそれほど大きくないにも関わらず、多くの方が興味を持っている運用法です。今回は、この「両建がなぜ好まれるのか」という心理学的理由を1つ紹介させていただきます。

この理由を理解しておくことは、この運用法で失敗する可能性を更に小さくするだろうと思っているからです。そして、これは「経済・金融詐欺」に遭わないためにも有益な知識という気がします。

それは、経済心理学では「確実性効果」と呼ばれています。

確実性効果とは

「人は、ある事象が起きる確率を主観的に重みづけて考える。とりわけ、確率の極端な数値、すなわち確実が「0」(0%)と確率が「1」(100%)に近づくと非常に敏感になる。つまり、可能性が不可能になったり、可能性が確実になることに感応度が高い」

~ 「経済は感情で動く」より

FX両建での確実性効果とは、こう書き換えられます。

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勝率が100%と思えるような投資法や金融商品は、その現実以上に魅力的に見えてしまう傾向がある。

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為替リスクを理論上ほぼゼロに押さえ込みながら、利益を出していくこの運用法は確かに勝率はかなり100%に近いものになっています。ただ、スワップ金利の差を利益に変えていく仕組みなので利益率もかなり低目でもあります。

それでも、銀行の定期預金の100倍近い金利にはなるのですが、年利100%などと派手に見えるFXのほかの運用法とは大きな差があります。

たまに、「この運用法を何がなんでもやらないといけない」と思っている方もいますが、そういう類のものではないと私は思っています。

この運用法は、「本格的にガンガン稼げるののではない」からです。資金を減らさずに少しでもいいから手堅く運用資金を増やせればよいというくらいのものです。

もの凄い運用法でもなんでもありません。スワップ金利のFX業者間の差を利用して少しづつ利益を積み上げているだけです。仕組みさえわかれば誰にでもできます。

ポジションを作った後も、資金管理はきっちりとしながら少し距離を置いて、たまに口座管理画面をみて「よしよし、順調に増えている」と確認するくらい冷めているほうがうまくいきます。

メルマガを書きながら読者のメールを頂くたびに、この確実性効果的な反応を強く感じます。

簡単な運用法なので、気楽にやられて下さいね。

最後に

今回の両建は、為替変動リスクはほぼゼロでスワップ金利の大きな変動さえなければかなりの高い確率で利益をだせる運用法です。

ブログなどによっては「ノーリスク運用法」という書き方をするケースもあるくらいです。私のメルマガやブログでも、連載をしていないときでも定期的に質問メールやコメントがあります。

その根強い人気の背景には「確実性効果によってものすごく魅力的な運用法に見える」という部分があるだろうと感じています。

私もこの運用法を定期的にやっていますが、数ヶ月売買して合計成績が損となった事はありません。ただ、リスクがないわけではないので「リスクゼロ」とは書かないようにしています。

実際、ここで書いたルールを基本にしてそれよりも更に安全性を取れば、この運用法で大きな損を出すことはまずないと思いますし、余程運が悪くない限り、損も出ないだろうという気がしています。

運が悪いというのは、例えば両建ポジションを取った翌日からスワップ金利が逆転して元に戻らなくなった時とかです。今のところ、FX業者なりの傾向がある程度固定しているから一時的な逆転はあっても、それが長期化したケースはないんですけどね。

ただ、将来を保障することは出来ないってことです。今までの裁量トレードと違い、損をする可能性のない運用というのは、やってみるとストレスも少なく気持ちの良いものです。

だからといって、過信はしないで欲しいのです。

慣れてくると、多くの方が確実性を維持しながら更に大きな利益を出す方法を探し始めます。この連載でも触れた「運用証拠金を減らしてレバレッジを高くする」というのもその一例です。

これは、ほどほどにされて下さいね。

少なくても、レバレッジを上げれば上げるほど「価格変動リスクほぼゼロ」という確実性からは離れていくのだという認識だけは持っていただければと思います。

この運用法は、「もっと利益率を上げよう」という欲さえ抑え込めば、本当に確実性の高いものになるはずです。

私がポジションを作る時は、これまでのようにメルマガやブログにてお知らせする予定です。

そういった情報を参考にしながら、確実に利益を出していってくださればよいと思います。

スワップ金利サヤ取りについて

2つのFX業者を使い両建を使って為替変動リスクをほぼゼロにしながら利益を出していくのがスワップ金利サヤ取りです。ここでは、現在の期待利回り状況や運用上の注意事項などを通貨ペア別にまとめていきます。

この運用法の考え方はここが基本になります。

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